鉄道車両 - Wikipedia

鉄道車両

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鉄道車両(てつどうしゃりょう、英語: Rolling Stock)は線路の上を走行する車両である。

日本の鉄道車両の一例
新幹線0系(2008年引退)
ヨーロッパの鉄道車両の一例
ユーロスター クラス 373/TGV TMST

目次

[編集] 概要

鉄道車両は、線路の上を走行し鉄道列車を運行するために用いられる車両である。線路に沿ってのみ運行することができるという点が、自動車など他の陸上交通の車両と異なっている点である。

また、他の交通機関と異なる大きな特徴として、双方向に同じように走ることができるという点が挙げられる。通常の航空機は飛行中に後退することができない。また多くのや自動車では後退時の性能は前進時に比べて制限されており、基本的には向きを変えて常に前進で使用されることが前提である。これに対して鉄道車両は、どちらの向きにも同様に走ることができ、最高速度を出すことができる。双方向に同様に性能を発揮しなければならないという条件は設計上の強い制約となっており、鉄道車両の前後対称に近い形にも影響している。[1]

鉄道車両は、動力の有無、搭載するのが旅客か貨物か、動力の配置の仕方などで様々に分類され、また設備や用途による分類もある。一般的な旅客を乗せて走行する車両から、保線作業などに用いられる裏方的な車両まで様々なものがある。

国により鉄道に関連する法規は異なっているため鉄道車両の厳密な定義はできないが、本線を列車として走行することのない作業用の車両などは正式な鉄道車両に分類されていないことがある。路面電車のような軽軌道も本格的な鉄道と区別されていることがある。製鉄所などに見られる工場構内の専用鉄道の車両や土木工事現場において線路を仮設して運行するトロッコ遊園地における遊戯用の車両なども、線路によって走行するという意味で広義の鉄道車両と言えるが、法規上の鉄道として分類されていることはあまりない。さらに将来に向けた研究開発目的で製作され運転されている磁気浮上式鉄道のように、将来的には正式な鉄道として開業し、鉄道車両として登録される可能性があるが、現時点では一般に公開されておらず法規上の鉄道ではないという例もある。

この項目では、一般に公開されて旅客や貨物の輸送を行う鉄道で用いられている鉄道車両について説明する。

[編集] 車種による分類

鉄道車両は、大きく分けると旅客車機関車貨車の3つに分類することができる。またこれ以外に事業用車を分類することもある。事業用車を分類する場合は、前3者は営業目的で用いられる車両であるので営業車として分類できる。

[編集] 旅客車

詳細は旅客車を参照

旅客車は、鉄道車両のうち主に乗客を乗せるための車両である。動力を有している車両と有していない車両がある。どちらの車両でも、接客のための設備はおおむね共通した構造を有している。動力集中方式に分類される旅客車として客車が、動力分散方式に分類される旅客車として電車気動車が存在する。

郵便物を輸送する郵便車や、乗客の手荷物を輸送する鉄道手荷物輸送(チッキ)において荷物を搭載するための荷物車は、貨物を載せているようであるが旅客列車に連結して輸送されることが多く、一般に旅客車として分類されている。

[編集] 電車

詳細は電車を参照

電車は、動力分散方式の旅客車のうち、電力によってモーターを回して走行する車両である。モーターによって走行する動力車(電動車)と、自力では走行できずに電動車に牽引・推進されることで走行する付随車が存在する。電車の付随車は、動力を有しない旅客を乗せるための車両という点で客車と変わらないようであるが、電車として統一した編成を組んで走行するためのブレーキ装置やその他の補助動力装置などが搭載されており、同一ではない。ただし鉄道事業者によっては電車の付随車を客車に分類していることもある。

搭載している電池の電力によって走行する方式も電車であるが、鉄道においては外部から電力を供給することが他の交通機関と比較して容易であること、走行に必要な大量の電力を貯蔵できる電池が実用的でないことなどから、架線第三軌条など線路に設置された給電設備から電力の供給を受けて走行することが一般的である。一方、搭載している熱機関によって発電してその電力でモーターを駆動する方式は、気動車に分類されている。

電車は、運転が容易で機動性に富み、保守がしやすいといった特徴があり、現代の軌道系の都市交通で用いられる鉄道車両として主たる地位を占めている。特に路面電車地下鉄で用いられる車両はほとんどが電車となっている。幹線を運行する長距離列車についても、ヨーロッパ日本を中心に電車による列車が多数運行されている。

日本語では、しばしば電車という言葉が鉄道車両、あるいは鉄道の列車そのものを指す用語として用いられている。

[編集] 気動車

詳細は気動車を参照

イギリス国鉄クラス221気動車

気動車は、動力分散方式の旅客車のうち、熱機関を搭載してその動力により走行する車両である。外燃機関である蒸気機関を動力とする車両は蒸気動車と呼ばれ、それ以外の内燃機関で走行する気動車を区別する時は内燃動車と称する。内燃動車において用いられる機関としてはディーゼルエンジンガソリンエンジンガスタービンエンジンなどがある。現代では一般的には、大出力を容易に得られ燃費のよいディーゼルエンジンが気動車の原動機として用いられている。ディーゼルエンジンを用いた気動車のことをしばしばディーゼルカーと呼ぶ。

内燃機関を動力とする場合、エンジンで直接車輪を駆動することはできず、何らかの方法で変速する必要がある。機械的な変速機を使う場合を機械式トルクコンバータを使う場合を液体式、一旦発電して電力でモーターを駆動する場合を電気式という。

気動車においても動力車と付随車が存在するが、内燃機関の出力上の制約などから、電車と異なりすべての車両にエンジンが搭載されているのが一般的で、気動車の付随車は例外的である。すべての車両にエンジンが搭載されているという点は、需要に応じて編成を増結しやすいという長所にもつながっている。

気動車は、動力分散式の旅客車として電車と似た特性を持っているが、電車と比べてエンジンの保守に手間がかかり、経費も嵩む。また、電車が動力の変換装置を持っているだけなのに対して、燃料自体を搭載してその動力への変換を行うことから、重量が大きくなり重量あたりの性能で劣っている。一方で地上側に電力を供給する膨大な設備を設置する必要がないというメリットがある。地方の閑散路線などでの運行には電車より気動車が適している。

[編集] 客車

詳細は客車を参照

レンフェ (スペイン国鉄) タルゴ客車

客車という言葉は、広い意味では旅客車という意味を表すこともあるが、狭い意味では動力集中方式における旅客車を指す。この意味では、客車は自身に動力装置を持たず、他の車両に牽引・推進してもらって走行する、主に旅客を乗せるための車両である。動力装置は搭載していないが、ブレーキについては鉄道の草創期の旧式な車両を除けば装備している。機関車により推進して運転する時に用いるための運転席を備えている車両もある。また、車内の照明や空調に用いるための電力を供給する発電機を搭載していることもあり、安全に走行して旅客に快適な旅を提供するために必要な様々な機械類が搭載されている。

客車は、動力装置を搭載していないため製造・保守の経費が安く、また車内に対する騒音・振動などの面で電車や気動車に比べて有利である。一方で、動力集中方式となるため加減速度の点では不利となる。このため長距離を走行し停車駅が少なく、車内環境を重視するような、長距離優等列車や特に夜行列車などにおいて用いられる。

[編集] 機関車

詳細は機関車を参照

機関車は、動力集中方式の客車や貨車を推進・牽引して走行するための動力車である。機関車自体には動力装置とそれを運転するための運転席のみがあるのが普通で、旅客や貨物を搭載するための設備は備えていない。ただし、一部に客席を設けて旅客を乗せられるようにした機関車も存在している。また動力装置以外に、客車に対する暖房用の蒸気発生装置を搭載していたり、客車の照明・空調用の電源装置を搭載していたりする。

機関車は、その動力方式でさらに蒸気機関車電気機関車、内燃機関車の3つに大別できる。

[編集] 蒸気機関車

詳細は蒸気機関車を参照

蒸気機関車は、蒸気機関を原動力として走行する機関車である。近代的な交通機関として鉄道が実用化された当初から用いられてきた機関車である。燃料を燃やし、その熱によって蒸気を発生させて、蒸気機関を駆動する。現実に存在したほとんどの蒸気機関車はレシプロ式で、ピストンの往復運動をクランクで車輪の回転運動に変換して走行していた。このほかに蒸気タービン式や、発電してモーターで走行するものなどがあった。

一般には燃料として石炭を用いるが、外燃機関であるため燃えるものであればほとんど何でも燃料として使用でき、木材重油などが用いられることもある。また変わったものとしてスイス連邦鉄道(スイス国鉄)にはかつて、架線から電気を集電し、その電力で電熱器により蒸気を作って走る電気式蒸気機関車が存在していた。原子炉で蒸気を発生させて走行する機関車も設計されたが、実用化された例はない。

無火機関車は、鉱山や火薬工場などの火気を嫌う場所で用いられる特殊な蒸気機関車で、外部に設置したボイラーからの蒸気の供給を受けて搭載している蒸気タンクに蓄積し、タンクに蒸気が残っている間だけ自走できるものである。

蒸気機関車は、製作費が安く線路側の設備もあまり必要としないという長所がある。しかし、操作や保守が難しく、熱効率が低く乗務員の労働環境が悪い、煤煙が環境汚染を引き起こすといった様々な短所があり、第二次世界大戦後各国で次第に他の機関車に置き換えられていった。主に発展途上国を中心に、2008年現在でも実用に用いられている蒸気機関車があるが、先進国においては保存鉄道で運行されている程度である。

[編集] 電気機関車

詳細は電気機関車を参照

中国国鉄韶山9型電気機関車

電気機関車は、電気でモーターを回して走行する機関車である。電力は架線や第三軌条から集電して取り入れるのが一般的であるが、蓄電池を搭載してその電力で走行する機関車も電気機関車に含まれる。電車と同様の理由で、蓄電池式の電気機関車は少数である。搭載している内燃機関により発電してその電力でモーターを回して走行する機関車は、一般に内燃機関車に分類されている。また電化区間では架線から集電して電気機関車として走行し、非電化区間では搭載している内燃機関を起動してその発電した電力によって走行するという機関車も存在しており、電気・内燃ハイブリッド機関車といえる。

電気機関車は、蒸気機関車に比べて効率がよく運転もしやすい。また高速化・大出力化が容易である。一方で電車と同じように膨大な地上設備を必要としている。このため運転頻度が高い路線を中心に用いられている。日本やヨーロッパ、ロシア中華人民共和国では幹線網の電化が進んでいるので、電気機関車が広く用いられている。一方、北アメリカオーストラリアなどでは鉄道網があまり電化されておらず、ディーゼル機関車が主力となっている。

[編集] 内燃機関車

詳細はディーゼル機関車ガソリン機関車ガスタービン機関車をそれぞれ参照

ニュージーランド鉄道DXクラスディーゼル機関車

内燃機関車は、内燃機関を動力源とする機関車の総称である。実際には搭載されているエンジンの種類により、ディーゼル機関車ガソリン機関車ガスタービン機関車などがあり、低燃費で大出力を発揮しやすいディーゼル機関車が現代の鉄道において内燃機関車の主流となっている。気動車と同様に、機械式、液体式、電気式などの各種の変速方式がある。

ディーゼル機関車は電気機関車と同様、蒸気機関車と比較して効率がよく運転しやすい。また地上の電化設備を必要としていないが、電気機関車に比べて製作と保守に費用と手間が掛かる。こうしたことから、あまり運行頻度が高くない路線を中心に用いられている。電化されていない路線では、必然的に内燃機関車が用いられることになる。

[編集] 貨車

詳細は貨車を参照

北アメリカで用いられているダブルスタックカー

貨車は、貨物を搭載して輸送するための鉄道車両である。大半の貨車は機関車によって牽引・推進されて移動する動力集中方式の車両であるが、近年ではカーゴスプリンターJR貨物M250系電車のように動力分散方式の貨車も開発されてきている。

搭載される貨物に応じて、様々な形態の貨車が開発されてきた。かつては、走行するための装置(走り装置)の上に直接貨物を搭載するための車体・荷台を取り付けており、これに人間が手作業で貨物の積み込み・積み卸ろしを行っていた。しかし、鉄道以外の交通手段との間で手作業による積み替えが発生することや、貨車の列車間での繋ぎ替え、入換作業に手間が掛かるといった問題があった。

これに対して、クレーンフォークリフトといった荷役機械が開発され、第二次世界大戦後から各国でコンテナ化の動きが始まった。これにより多くの国で貨車はほぼコンテナ車に統一され、その上に載せるコンテナを搭載する貨物に応じて開発するようになっている。

鉱山において鉱石を輸送する列車や、石油のように大量に消費される物資を輸送する列車については、今でも専用の貨車が開発されて使用されている。

[編集] 事業用車

詳細は事業用車を参照

ロシアの鉄道クレーン

事業用車は、鉄道事業者が所有する車両のうち直接営業目的に用いられない鉄道車両である。保線作業に用いたり、事業者内部の業務に必要とされる物品を輸送したりといった車両がある。直接旅客や貨物を乗せて運賃収入をあげることのない車両である。機関車も直接旅客や貨物を乗せることはないのが普通であるが、旅客列車や貨物列車を牽引する目的に用いられているので営業車に分類される。

鉄道事業者が事業用に用いる車両の中には、外見的な形としては鉄道車両であっても正式な車籍を登録していないものもあり、こうしたものは機械という扱いになり鉄道車両の範疇ではない。保線作業をするモーターカーや入換作業をする貨車移動機などにこうしたものがある。

[編集] 設備による分類

鉄道車両の設備による分類を以下に示す。

[編集] 旅客車の設備分類

旅客車は、どのような接客設備を備えているかによって分類されている。

[編集] 座席車

詳細は座席車を参照

座席車は最も基本的な旅客車で、車内に座席を備えているものである。乗客に着席しての旅行を提供するが、通勤用の車両のように立席が多い車両であっても座席車の区分に含まれる。

国や鉄道事業者にもよるが、一等車二等車のように車内の設備によって等級が付けられていることがある。等級の段階数もまた国と鉄道事業者によって様々である。等級に特別な名前が付けられていることもある。等級が上のものから例として示すと、日本のJRにおいてはグリーン車普通車韓国韓国鉄道公社においては特室と一般室、中国の鉄道においては軟座車と硬座車、スペインの鉄道においてはクラブ (CLUB)、プレフェレンテ (PREFERENTE)、ツーリスタ (TURISTA) となっている。さらに等級により列車そのものが異なっていることがあり、例えばペルー・レイルマチュピチュへ向かう観光列車は、等級が上のものからハイラム・ビンガム号 (Hiram Bingham)、ビスタドーム号 (Vistadome)、バックパッカー号 (Backpacker) となっている[2]

ヨーロッパでは、一等車が地方の閑散路線や、時には都市の通勤路線にまで連結されていることがある。通勤路線の一等車は二等車と設備的に差がないことがあるが、それでも一等車が設定され乗車する人がいるのは、ヨーロッパの階級社会の伝統に根ざしているとされる[3]。運賃制度上、基本運賃に一等車料金を足すのではなく、二等運賃と一等運賃が別立てになっている場合には、一等の運賃を収受したからには一等車を運行しなければならないという理由もある。さらに、上級の等級に乗車するような階級の人間の居住地・勤務地や官公庁の所在地などを考慮して連結されることもある[4]

ドアトイレの設置されているデッキと客室が区切られている形式と、区切られておらず同じ客室内に設置されている形式がある。前者は特急・急行用などの優等列車を中心に用いられる。

また客室内において、座席同士が特に区切られずに並べられている形式をオープンサルーンといい、数人用の部屋に区切られている形式をコンパートメントという。オープンサルーンにおいては、中央に通路が設けられて両側に座席が設置される形態が多く、一方コンパートメントにおいては片側に通路が設けられている形態が多い。ただし中央通路で両側にそれぞれコンパートメントが並ぶ形態もある。各コンパートメントに直接外へ出るドアが取り付けられている、馬車の客室に由来すると言われる構造の車両がかつて存在しており、イギリスでは近年まで用いられていた。こうしたドアをスラムドア (slam door) という。

オープンサルーンでは、さらに座席の配置の仕方に様々な形態がある。詳細は鉄道車両の座席を参照。

座席車には、座席以外に荷物置き場、トイレ、洗面所、乗務員の業務用スペース、身障者スペースなども設置されることがある。

[編集] 寝台車

詳細は寝台車 (鉄道)を参照

寝台車は、客室内にベッドを設置してあり、乗客が寝たまま旅行できるようにされている車両である。主に夜行の長距離列車に連結されている。

座席車と同様に寝台車も国や鉄道事業者により等級で分かれている。例えば等級が上のものから、日本のJRではA寝台車B寝台車、中国の鉄道では軟臥車、硬臥車、ヨーロッパのシティナイトラインではデラックス、コンフォート、エコノミー、クシェット、スペインのタルゴではグランクラッセ、プレファレンテ、ツーリストである。

寝台車においても開放形式と個室形式がある。開放形式では、寝台はカーテンにより外部の空間と仕切られるだけであるが、個室形式においては施錠することができる部屋になっている。ただし中国の硬臥車ではカーテンも付いていないものがある。アメリカにおいては開放形式が、ヨーロッパにおいては個室形式が主流であったが、後にアメリカも個室形式に移行している。

開放形式の寝台の配置パターンには大きく分けると2つあり、1つは車両の中央に通路が通りその両側に線路と平行な方向に寝る寝台が並んでいるもの、もう1つは車両の片側に通路が通り線路と直角な方向に寝る寝台が並んでいるものである。なお、スペインのタルゴ客車には斜めに寝る寝台も存在している。前者のうち、昼間には寝台を畳んでボックスシートとするものを、この形式の寝台車を多数所有していたアメリカの会社の名前からプルマン式と呼ぶ。一方、昼間でも寝台をそのままにロングシートのように座る形式を、アメリカでの寝台車の販売呼称からツーリスト式と呼ぶ。多くの旅客を乗せるために、特に等級の高い寝台車でない限り二段寝台や三段寝台になっているのが普通である。

個室形式の寝台では、等級にもよるが個室内にシャワー室、トイレ、洗面台などが備わっていることがある。シャワー室については、開放形式の寝台に乗車している旅客も使用することができる共用のものが設置されている列車もある。

寝台車運行の全盛期には、アメリカではプルマン社、ヨーロッパでは国際寝台車会社(ワゴン・リー社)が、鉄道会社とは別個に設立されて寝台車を所有し、鉄道会社と契約を結んで寝台列車を走らせていた。こんにちでは航空機や高速鉄道の発達によりかつてほど夜行列車は重要ではなくなったが、今なお多くの列車が運行されている。さらに観光目的で、列車に乗ること自体を目的とした旅行を提供する豪華列車にも寝台車がよく連結されている。

[編集] 食堂車

詳細は食堂車を参照

食堂車は、車内に供食設備を備えた車両である。簡単な厨房設備と食事のためのスペースを備えている。

車内においてきちんと材料から調理して食事を提供する場合と、地上で準備した食事を車内では温めて提供するだけの場合がある。現代においては後者のケースが増えている。またメニューにある料理から選択するのではなく、カフェテリア形式になっていて自分の好みの食品を選択して食べるものもある。カフェテリア形式の場合、自分の座席に持ち帰ることができることもある。立席で軽食の提供を前提とした車両の場合はビュフェと呼ばれる。

食事を直接提供する以外に、売店としての営業や車内販売の準備スペースとしての機能を持っていることがある。

世界的に鉄道の高速化や長距離旅客の航空機への転移などにより、食堂車の連結が廃止されたり営業が簡素化されたりしている。日本では既にごく一部の寝台列車で営業するのみである。ヨーロッパでも高速鉄道ではビュフェ程度のものが多いが、在来線を長時間走行する列車では本格的な食堂車もまだ営業している。中国においては、今でも長距離を走行する列車が食堂車を連結するのは一般的である。中国の食堂車は、食事を直接提供する拠点であるばかりでなく、車内販売で販売される弁当の調理を行うという機能を持っている。

列車によっては、運賃・料金に食事料金が込みになっており、航空機の機内食のように各座席に食事が運ばれてくるものがある。この場合でも食事を準備するためのスペースが列車内のどこかに用意されている。豪華列車の中には同じく食事料金が込みになっていても、指定された予約時間に食堂車に足を運ぶようになっているものもある。

[編集] 郵便車・荷物車

詳細は郵便車荷物車をそれぞれ参照

郵便車は、郵便物を積載する車両である。単に郵便物を載せて輸送するだけではなく、車内に郵便物を区分するための棚が設けられており、郵便局員が乗務して走行中に郵便物の仕分けができるようになっているものが多い。イギリスでは、通過駅を走行中に、つまり停車することなく郵便物を積み込み、積み降ろす特殊な装備を持った郵便車をかつて走らせていた。フランスTGVでは、1列車すべてが郵便車というLa Posteが存在している。

荷物車は、旅客の手荷物を積載する車両である。航空機における旅客荷物の預かりサービスのように、鉄道側が旅客の荷物を預かって到着地まで輸送するサービスを行うというのがもともとの目的である。宅配便のように、小包を特定の駅まで送る鉄道小荷物輸送の目的でも用いられている。旅客の荷物を預かるサービスは一部の豪華列車を除けば衰退している。鉄道小荷物輸送も多くの国で衰退しているが、スイスのように今でもごく普通に用いられている国もある。

郵便車・荷物車は、旅客列車に組み込まれて運行するのが一般的であるが、特に輸送量の多い幹線などで専用列車を走らせることもある。

[編集] その他の特殊な旅客車

展望車は、沿線の風景を展望できるように大きな窓を設けたり座席の配置を工夫したりした車両である。優等列車の一部として組み込まれて、列車に乗車している旅客が誰でもこの車両に来て展望を楽しむことができるようになっていることが多い。ただし展望車の利用が一等車の旅客に限定されているといった場合もある。列車の末端に組み込まれている展望車では、末端に突き出したデッキを備えているものもあった。

ロビーカー、あるいはラウンジカーと呼ばれている車両も展望車に類似したものであるが、特に展望を強調していない車両である。誰でも利用できることが前提であるので、この車両の座席に対する乗車券の発売は行われず、列車の定員にも含まれない。豪華な車両にはピアノなど楽器が積まれていることもある。

電源車は、空調や照明など車内で消費する電力を供給するための電源装置、発電装置が搭載された車両である。架線から取り入れた電力を変換して車内に供給する場合もあれば、ディーゼル発電機を搭載していて発電する場合もある。発電機を積んだ方式の場合は、非電化区間へも直通することができる。他の形式の車両の一部に電源装置を組み込んでいることもある。

[編集] 合造車

1両の車内に上述した設備を複数備えている車両を合造車(ごうぞうしゃ)という。一等車の需要が1両分見込めない路線において二等車と半室ずつ設置したり、荷物車と郵便車を同じ車両にしたりする。3つ以上の用途を複合した車両も存在する。

[編集] 貨車の設備分類

貨車の設備は有蓋車、無蓋車、その他の貨車に分けられる。さらにその中に各種の貨車が存在している。

[編集] 有蓋車

有蓋車は、雨に濡れてはいけない貨物を収容する、屋根の付いた貨車である。一般に荷役するためのドアが側面に取り付けられている。初期には人力での荷役を想定していたが、後にはフォークリフトによる荷役を想定した設計になっている。汎用的に用いられる貨車で、ほとんどどのような貨物でも搭載していた。一部のスペースに車掌の乗務設備を設けた有蓋車は有蓋緩急車という。日本の鉄道では、鉄側有蓋車鉄製有蓋車をさらに区別している。

有蓋車の派生車種として様々な特殊仕様を持った貨車が開発されている。

冷蔵車は、車体に断熱機構を備えて車内を保冷・保温した状態で走行できる貨車で、肉類・魚介類・乳製品・飲料・冷凍食品などの食品類の輸送に用いられる。新しい車両では機械的な冷凍機を運転して車内を冷却しているが、もともとは氷やドライアイスといったものを用いて冷却することが想定されており、車両そのものには冷却機構が付いていなかった。温度維持に関する装備を除けばおおむね有蓋車と同じである。

通風車は、有蓋車の側面・妻面に多数のスリットが取り付けられており、車内の換気をしながら輸送できる貨車である。主に野菜果物などの冷却するほどではないが、熟する時に発生する熱を取り除く必要がある食品類の輸送に用いられる。これらの食品も、長距離の輸送では冷蔵車が用いられる。スリットが開閉式になっていて有蓋車と兼用できる車両もある。

家畜車は、ウシウマなどの生きた家畜類を乗せるための貨車である。換気が考慮されており、構造的には通風車と似ている。日本では荷台が2段構造でブタ専用の豚積車、棚にカゴを載せるニワトリ専用の家禽車などが区別されていた。

これ以外に魚を生きたまま運ぶ設備を備えている活魚車、陶器を運ぶための棚を備えている陶器車などがあった。

[編集] 無蓋車

無蓋車は、屋根がなく露天で貨物を輸送する貨車である。木材や砂利などを主に輸送する。あおり戸と呼ばれる、荷役時に倒すことができる戸を持っているものが多いが、開閉方式には他にも様々なものがあり、また側面の板を撤去した車両も存在している。機械類であっても、上に防水カバーを掛ける形で無蓋車で輸送することがある。土砂を輸送する無蓋車については、あおり戸の高さが違っていたりダンプカーのように荷台を傾けることができるようになっていたりと構造が若干異なり、土運車として区別されることがある。

無蓋車の派生車種を以下に示す。

長物車は、側面にあおり戸などがついていないフラットな貨車である。木材やレールなど長いものを輸送するために用いる。車両の輸送で用いることもある。側面に貨物の転落防止用の柱を立てることがある。コンテナも当初は長物車に搭載していた。

コンテナ車は、外見は長物車に近いが、コンテナを搭載するために作られた貨車で、コンテナを固定するための緊締装置が備えられている。鉄道貨物輸送のコンテナ化に伴い、近年製造されている貨車の多くの割合がコンテナ車となっている。

車運車は、自動車を搭載するための貨車である。工場で完成した車両を販売地や輸出港へ輸送するためのものと、トラックトレーラーをその貨物ごと搭載して輸送するピギーバック輸送のためのものがある。前者は、普通車輸送用の場合2階建てになっていることがある。またカートレインに用いられる場合、無蓋車ではなく有蓋車に分類されるような、屋根付きの車両が使われることがある。

[編集] その他の貨車

タンク車は、石油、セメント、化学薬品、ガスなど気体・液体・粉状のものを輸送するために車体にタンクを備えている貨車である。配管を繋いで流し込み、流し出す形態での荷役が行われる。搭載する貨物の性格に応じて荷役方法や搭載量、タンク体の材質などが様々に異なっていて、多種多様な形式のタンク車が存在する。金属ナトリウム輸送用のタンク車では、融解したナトリウムを流し込んで冷却し、タンク内で固体の状態で輸送して、到着地点で温めて再度融解させて流し出すという特殊な荷役形態のものも存在する。水を輸送するためのタンク車は特に水運車と呼ばれる。

ホッパ車は、鉱石、砕石、セメント、小麦など粒状の物体を輸送するための貨車である。積み荷を包装せずにばら積みするのが特徴で、上側から貨車内に貨物を流し込み、下の取り出し口から流し出して取り出す。車体は漏斗状になっている。アメリカにおいてはリンゴオレンジをそのまま搭載できる冷蔵ホッパ車も存在していた。石炭を輸送するホッパ車は石炭車と呼ばれる。

大物車は、タービン変圧器など、特に大型の物を運ぶために造られた特殊な貨車である。様々な形態の車両が大物車に含まれ、中には貨物の容器自体を車体の一部として利用する形式の大物車もある。

[編集] 事業用車の設備分類

事業用車は、事業用客車と事業用貨車に大きく分けられ、さらに各種の事業用車が存在する。以下に例を示す。

[編集] 事業用客車

職用車は、事業用車両のうち他の車種に分類できないものをまとめた呼称である。

試験車には2種類の意味があり、車両の開発試験のための試作車という意味と、線路や架線などの設備の計測・点検用の車両という意味がある。

救援車は、事故や災害の際に復旧資材を積んで現地に派遣される車両である。

配給車は、鉄道事業者が内部で使用する物品を輸送するための車両である。

暖房車は、蒸気暖房を使う列車において蒸気発生装置がない機関車を使用した時に、代わりに暖房用蒸気を供給するための車両である。

ここで示した事業用車の中には、電車や気動車、貨車の分類になる事業用車も存在する。

[編集] 事業用貨車

車掌車は、貨物列車に連結されて車掌が乗務するための車両である。当初は、列車全体に一斉にブレーキを掛けられる貫通ブレーキが存在していなかったため、列車内のところどころにブレーキを装備した車両を連結し、制動手がこの車両に乗り込んで必要な時にブレーキを操作していた。こうしたブレーキを掛ける設備を備えた車両を緩急車という。緩急車は旅客・貨物を問わず用いられ、客車や貨車のうちブレーキ設備を備えたものが緩急車であった。有蓋車や無蓋車など、他の貨車の一部にブレーキ扱いの設備を取り付けたものは、それぞれ有蓋緩急車、無蓋緩急車と呼ばれていた。その後、貫通ブレーキが普及するにしたがってブレーキ取り扱いの役割は薄れ、車掌が乗務する車両という意味に変わっていった。そして、車掌が乗務するだけで他の貨物を積載することができない車両を区別して車掌車と呼称するようになった。したがって、有蓋緩急車や無蓋緩急車、客車のうち緩急設備を備えた車両は、旅客や貨物を載せることができるため営業車に含まれるが、車掌車に関しては事業用車となる。列車無線列車防護無線装置が開発されると、多くの国で車掌車の連結は廃止となった。

雪かき車は、降雪地域において線路上の除雪を行う車両である。ラッセル車ロータリー車など各種の雪かき車がある。かつては動力を持たない独立した雪かき車を機関車で推進・牽引して除雪作業を行っていたが、後に機関車自体に除雪装置を取り付けるようになっていった。機関車に装置を取り付けた場合には独立した車種には分類されない。さらに保線用のモーターカーなどに除雪装置を取り付ける場合もあり、鉄道車両によらない除雪手段も用いられている。

検重車は、鉄道車両の重量を測定するための「はかり」を較正するための車両である。空車の貨車の重量をはかりで計測し、続いて貨物を積み込んでから再度計測することで、搭載した貨物の量を測ってそれに基づいて荷主に料金を請求するといったことが行われるため、貨車の重量を計測できるはかりが貨物駅や操車場などに備えられている。線路の重量制限を満たしていることを確認する目的にも用いられる。このはかりが正しいことを確認するために、クレーンや錘を備えていて較正作業を行うのが検重車である。

操重車は、クレーンを搭載した鉄道車両である。保線作業や建設工事に用いたり、事故発生時の復旧作業に用いたりする。道路網が発達し、外部から機動力のある自動車のクレーンで乗り入れられるようになり、鉄道のクレーンは衰退している。

控車と呼ばれる車両には複数の使用目的がある。1つは、作業員の休憩スペースを備えており、操車場などにおいて必要な場所に移動させて使う車両である。もう1つは、様々な目的で他の車両の間に挟みこんで連結する車両である。後者については、鉄道連絡船に貨車を積み込む際に、重い機関車が可動橋に載って設備を壊してしまうことを防ぐために、貨車と機関車の間のスペースを空ける目的で使われたり、操重車に積まれているクレーンのジブが他の車両に抵触しないようにスペースを空ける目的で使われたり、連結器の種類が異なる車両同士を連結するためのアダプターとして使われたりする。

[編集] 用途による分類

鉄道車両は、その使用される列車の使命・目的に応じて分類される。

[編集] 旅客車の用途分類

旅客車は使用される列車の性格によって分類される。

[編集] 特急・急行用旅客車

詳細は特急形車両急行形車両をそれぞれ参照

特急・急行用旅客車の一例、ドイツICE1の二等車車内

特急・急行用旅客車は、長距離を運行し主要駅のみに停車するような、特急急行列車に用いるための旅客車である。特急・急行用旅客車では、長時間を車内で過ごす旅客のために内装の快適さに意が用いられており、また鉄道事業者の看板ともなる列車であるため外観の意匠にも配慮がなされているのが通常である。

通常、固定式クロスシート回転式クロスシートなど、進行方向またはその逆方向を向いて座ることのできる座席が用いられる。背もたれを倒すことのできるリクライニングシートも新しい車両を中心に多く見られる。立席での乗車は通常想定されない。個室を設けていることもある。

日本やアメリカ、アジアでは、座席を回転させることで常に列車の進行方向を向いて座ることのできる回転リクライニングシートが広く普及している。これに対してヨーロッパでは、進行方向を向くことにそれほど拘りがなく、常に一方向を向いている座席が採用されている国が多い。これは座席を回転させるために座席そのものの座り心地を犠牲にすることを嫌ったからではないかと分析されている[5]。しかしそのヨーロッパでも高速化・航空機との競争により乗車時間が短縮されてくると共に、回転式の座席が増えつつある。完全に一方向に向いている座席を備えた車両を用いて、終着駅に到着するとデルタ線を利用して方向転換することで列車ごと向きを変える方法もかつては見られたが、手間が掛かることもあり廃れている。

車内にはトイレや洗面所といった長時間の乗車を想定した設備が設けられる。食堂車やラウンジといったサービス設備を持っていることもある。荷物の多い旅客のために荷物を置くスペースが特別に設けられていることもある。旅客の乗降は頻繁ではないので、ドアの数は少なく1両の片側あたり1つから2つ程度で、その幅も狭い。空調設備が完備されていて、窓は固定されていて開けられないのが通常である。

夜行で運転される旅客列車も多くは特急・急行用旅客車を用いており、この場合寝台車も連結されることがある。

[編集] 近郊用旅客車

詳細は近郊形車両を参照

近郊用旅客車の一例、フランスRER用車両の車内

近郊用旅客車は、優等列車ではないが都市の郊外や都市間で運転されるような列車に用いるための旅客車である。特急・急行用旅客車に比べると想定される乗客の車内滞在時間は短く、それに合わせて車内設備も簡素なものとなる。

座席は固定式クロスシートやセミクロスシート転換式クロスシートなどが多く見られる。立席乗車に備えてつり革を備えていることもある。トイレを備えている車両もあるが、省略されていることもある。単に乗車して移動する以上の特別なサービスが用意されていることは少ない。特急・急行に比べると旅客の乗降が頻繁であるので、1両の片側あたりのドアの数は2つから4つ程度となり、その幅も特急・急行用旅客車に比べて広くなる。空調設備に関しては、通勤用の旅客車と比べても冷房の導入が遅れていたが、近年の車両では標準的になってきている。

都市内部で運転される通勤・通学輸送を想定した列車でも、アメリカやヨーロッパのように想定される乗客数が少ない場合には、この形式の車両が用いられることがある。

[編集] 通勤用旅客車

詳細は通勤形電車通勤形気動車をそれぞれ参照

通勤用旅客車の一例、ニューヨーク市地下鉄の車内

通勤用旅客車は、主に都市内部で運転される列車に用いるための旅客車である。日常の通勤・通学の足として用いられる車両である。都市部の通勤路線や地下鉄などで多数の車両が必要とされるため製造費用のコストダウンが図られ、同じ形式の車両が大量生産されることが多い。

座席は大半が進行方向に対して横方向を向いたロングシートで、また着席乗車より立席乗車の方が多く想定されている。少しでも多くの旅客を乗せるために通常トイレの設置は省略される。停車駅が頻繁で乗降する旅客も多数であるため、1両の片側あたりのドアの数は4つから6つとかなり多くなり、幅も広いものが用いられる。近郊用旅客車に比べるとラッシュアワーの対策の関係から早くから冷房の設置が行われていた。ただし地下鉄用の車両については、熱の排出先の問題で冷房化が遅れている。

立席を中心としたこの形式の車両は、旅客が非常に多い路線で用いられており、アメリカやヨーロッパでは一部の地下鉄路線などに限られている。一方人口が多い割に鉄道施設が貧弱なアジアでは、この形式の車両が都市鉄道において広く用いられている。

[編集] 団体用旅客車

団体用旅客車の一例、お座敷列車の車内

団体用旅客車は、臨時に運転される団体専用列車向けの旅客車である。ジョイフルトレインなどとも呼ばれる。他の目的の旅客車がこの目的に転用されることもあるが、専用の車両を備えているところもある。専用の車両が用いられている場合、列車の旅に特別な価値を持たせるために、お座敷列車となっていたり展望席が設けられていたりする。その他の車内の設備は特急・急行用旅客車に準じている。

特殊な目的の団体用旅客車として、各国の王族や要人などを乗せるための車両がある。ロイヤルトレインなどと称され、日本ではお召し列車がよく知られている。専用目的に設計された車両を用いることもあれば、一般用の車両を必要に応じて改装して用いることもある。内装に通常よりも注意が払われることに加え、警備上の理由により窓に防弾ガラスを使用したり、警備担当者の乗務スペースと無線電話などの連絡手段が用意されたりする。また随行員や報道関係者の席が用意されることもある。

[編集] 機関車の用途分類

機関車は、旅客用と貨物用で区分されることがある。旅客用の機関車は高速性能を重視した設計になっているのに対して、貨物用の機関車は牽引力を重視した設計になっている。また蒸気暖房を前提としている場合には、蒸気発生装置を搭載していない機関車を冬期に旅客列車牽引に用いることはできない。ただし短区間で暖房無しを割り切って使う場合や、暖房車により暖房用蒸気の供給を行う場合などもある。

蒸気機関車の時代には、旅客用と貨物用の区分はかなりはっきりとしていた。蒸気機関車の性能は車軸配置により大きく影響を受ける。高速性能を重視するためには動輪を大きくし、牽引力を重視するためには動輪を小さくして代わりに動輪の数を増やす。こうしたことから、蒸気機関車の形態が試行錯誤されていた初期や特殊な用途の機関車を除けば、動軸が3つの機関車が旅客用、4つの機関車が貨物用に主に用いられていた。

電気機関車やディーゼル機関車になると、こうした違いはだいぶ薄れてきているが、定格性能を高速性能重視にするか牽引力重視にするか、といった点で違いは存在している。

[編集] 貨車の用途分類

貨車の用途分類は、主に貨物列車の運用の仕方による分類である。

[編集] 一般用貨車

ドイツの操車場に並ぶ一般用貨車

一般用貨車は、様々な種類の貨物をそれに応じて製作した貨車に直接搭載し、貨物列車につないで運行するものである。このため貨車の種類は運びたい貨物に合わせて多種多様なものとなる。出発地・目的地・搭載する貨物がバラバラな貨車を連結して走らせるため、操車場での入換作業を繰り返しながら最終目的地へと運行される。途中での中継作業が多く、また出発地と目的地で鉄道とそれ以外の輸送手段の間での貨物の積み替えに手間が掛かることから、他の交通手段に取って代わられて多くの国で衰退している運用形式である。

[編集] 専用貨車

西オーストラリア州ポート・ヘドランドに到着する鉄鉱石輸送列車

専用貨車は、鉱石・セメント・穀物・石炭・石油などの主に一次産品を、生産地や生産工場から消費地や加工工場に向けて大量に輸送するための貨車である。一次産品以外にも、自動車の完成車両を工場から輸出港へ輸送するなどの列車がこの形態に相当することもある。車両としてはタンク車やホッパ車などが主にこの分類となる。同一形式の車両を多数連ねて、出発地から目的地まで途中での中継作業なしに同じ貨物を大量直行輸送する形態で、鉄道の大量輸送の特性が最も発揮される形態である。

[編集] コンテナ貨車

ドイツで運行されるコンテナ列車

コンテナ貨車は、貨車自体には走行装置とコンテナを積載する装置があるのみで、貨物はコンテナに格納されて、そのコンテナを貨車に搭載して輸送するものである。コンテナはフォークリフトやリーチスタッカーなどの荷役機械によりコンテナ貨車に対して脱着可能になっている。これにより、船舶やトラックなど鉄道以外の輸送モードとの間で貨物を積み替える作業が、荷役機械によるコンテナの積み替えだけで済むようになり大幅に省力化された。様々な行き先に貨物を届けるためには、コンテナ貨車を操車場で繋ぎ変えて列車を編成しなおすのではなく、荷役機械によってそれぞれのコンテナを目的地へ向かうコンテナ列車に積み替えるようになり、時間と手間を要していた貨車の中継作業も省略された。コンテナ貨車自体は同じものが大量に製造されて列車に連結されており、その上に搭載されるコンテナが貨物に応じて多種多様なものが製造されるようになっている。

ピギーバック輸送では、トラック自体を列車に搭載して輸送しており、これは貨物そのものを貨車に搭載せず、脱着可能な装置に貨物を搭載しているという点でコンテナ貨車と類似した性格を持っている。

[編集] 動力集中方式と動力分散方式

鉄道車両を推進する動力の配置の仕方としては、動力集中方式動力分散方式がある。動力集中方式は、機関車牽引方式ともいい、編成中の動力はすべて機関車に集中しており、それ以外の客車貨車は機関車に牽かれて走るのみの方式である。これに対して動力分散方式では、特定の車両に動力を集中させるのではなく、編成中の各車両に分散して動力を搭載する。

図に概念を示す。図中赤く塗られてMと書かれているのが車両が動力車で、白抜きにTと書かれているのが動力のない付随車である。動力分散方式において、動力車と付随車の割合は形式によって様々である。この割合のことをMT比といい、図の例では4M2Tと表現される。

動力集中方式と動力分散方式の得失は以下の通りである。

車両製造費用
動力集中方式の動力車である機関車は、すべての動力機能を集中して備えているため高価である。これに対して動力分散方式の車両は、動力車と付随車で異なるが、機関車よりは安価である。動力集中方式の付随車はこれよりも安い。したがって、製造費用は動力集中方式の動力車 > 動力分散方式の車両 > 動力集中方式の付随車という式が成り立つ。同じ程度の輸送力を発揮できる編成で比較すると、12両編成の場合、動力分散方式の車両がすべて動力車(12M)ならば動力分散方式の方が高く、6M6Tの場合で同等、4M8Tの場合は動力分散方式の方が安いという試算がなされている[6]。ただしこの例では、動力集中方式の列車について折り返し駅での機回しを省略するために両端に機関車を繋いだ構成を考えているため、機回しを行うことを前提にすれば機関車を1両削減できて、動力集中方式により有利となる。
車両保守費用
動力を備えている車両は、備えていない車両に比べて保守に手間が掛かる。このため保守費用の面でも動力集中方式の動力車 > 動力分散方式の車両 > 動力集中方式の付随車という式が成り立つ。動力集中方式では、機関車だけ予備を用意しておけば、機関車の検査・修理中にも付随車は使用することができるが、動力分散方式では基本的にすべての車両について予備が必要となる。こうしたことから保守費用の面では動力分散方式が不利である。
エネルギー消費
エネルギー消費については、動力を1箇所に集中している方が各所に分散するより効率面で有利である。一方動力集中方式では、編成を構成している車両すべてを牽引する力が車体に働くため車体構造を頑丈にする必要があり、車両重量が大きくなる。また、近年は電車方式の列車を中心に、減速時にモーターで発電して架線に電力を返す回生ブレーキが普及しており、これは動力集中方式の列車では困難である。これらのことから、回生ブレーキがある場合は動力分散方式のほうがエネルギー消費が少ない。
車内スペース
動力集中方式では、編成中に乗客が乗車できない車両が生じる。同じ列車長であれば、動力分散方式の方が乗客の利用できるスペースが広く、より多くの乗客を乗せることができる。一方で動力分散方式では、2階建て車両を実現しようとすると、床下に搭載された動力機器が障害となってスペースが限られることがある。
乗り心地
動力分散方式の車両で