前線 (気象) - Wikipedia

前線 (気象)

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温暖前線 から転送)
寒冷前線・温暖前線のモデル図
前線の雲


気象でいう前線 (ぜんせん、weather front) とは、二つの気団が接触したときに生ずる不連続面(前面)が地上と交わる線のことをいう。気温の分布を見ると、前線にあたるところでは気温や風向・風速が連続的ではなく急激に変化していることから、かつては「不連続線」とも表記された。「不連続線」は意味上誤りではないが、20世紀半ばから「前線」に取って代わられた。

前線は、寒冷前線温暖前線停滞前線閉塞前線に分類される。温暖前線は暖気の流れる方向に、寒冷前線と閉塞前線は寒気の流れる方向に移動する。一般的には偏西風の影響を受けて西から東へ動く事が多いが、停滞前線は余り移動しない。前線が通過する地点では、気温(風向・風速)・気圧などが急変する。

天気図で用いる前線の記号
1.寒冷前線 2.温暖前線 3.停滞前線 4.閉塞前線

目次

[編集] 寒冷前線

冷たい気団が暖かい気団に向かって移動する際の接触面で起きる。日本付近をはじめ北半球では、主に温帯低気圧の進行方向後面に、南西方向に連なって伸びる。寒気と地表の間に抵抗があるため、上図のように寒気が上空に張り出した形で気団が移動する。寒冷前線が通過すると気温が急に下がる。長く連続したになることは少ないが、積乱雲が発生するため、短時間で強い雨をもたらし、や突風、をともなうことも多い。また、温度差が大きい場合竜巻が発生する遠因になる。

[編集] 温暖前線

暖かい気団が冷たい気団に向かって移動する際の接触面で起きる。日本付近をはじめ北半球では、主に温帯低気圧の進行方向前面に、東西に連なって伸びる。暖気が寒気に乗り上げるため、上図のように一様に傾斜した境界面ができる。温暖前線通過時には気温がゆっくり上昇する。乱層雲が発達し、ある程度連続した雨が降りやすいが、その降り方は弱い。ただし、南海上からの暖かく湿った空気が温暖前線に流れ込んで活動が活発になると、温暖前線特有の地雨性の降雨でなく、どちらかといえば寒冷前線の通過時にあるような非常に激しい雷雨になることがある。前線の通過にともない、南よりの風から北または西よりの風に変わる。

日本付近では、温暖前線の北側を吹いてくる東風(寒気団)が長らく太平洋上にあるためかなり温まり、地上や海面上では前線通過時でも余り気温の変動が無い場合が多い。

[編集] 停滞前線

暖かい気団と冷たい気団の勢力が等しい状態又はほとんど移動しない状態で接触した場合に発生する前線。上空の風向と、前線の走向が並行になっていると停滞前線ができる。停滞前線は、多くは東西に伸びているが、南方の暖気団と北方の冷気団との相対的な勢力により、南北に上下運動をするので、前者が打ち勝てば前線は北上し、後者が打ち勝てば前線は南下する。雲の状況と雨の降り方は温暖前線に似て、長く連続した雨が降る。

梅雨前線、秋雨前線などが代表例である。その他、春の菜種梅雨時や、晩秋から初冬にかけてのサザンカ梅雨時のぐずつき天気も、本州南岸沿いに伸びる停滞前線に起因することが多い。

[編集] 閉塞前線

温帯低気圧から伸びる温暖前線と寒冷前線では、後者のほうが進行速度が大きいため、低気圧の中心近くでは寒冷前線が温暖前線に追いつき閉塞前線となる。温暖前線の前の寒気と寒冷前線の後ろの寒気とは、通常わずかながら温度差があるため、寒気同士が接触し、その上空に暖気が押し上げられる。寒冷型閉塞前線の場合は、寒冷前線側の寒気の方が温度が低く、温暖前線側の寒気の下にもぐりこんで行き、閉塞前線は寒冷前線面に沿って形成される。温暖型閉塞前線では、温暖前線側の寒気の温度が低いため、寒冷前線側の寒気がその上に上昇し、温暖前線面に沿った閉塞前線ができる。なお、閉塞前線を伴った低気圧は暖気が上空に押し上げられてしまうため、発達のためのエネルギーが無くなって弱まって行く。

[編集] その他の前線

[編集] メソスケールの前線

総観スケールの気象を表現する天気図には描かれないが、メソスケールで見ると風向・風速や気温が急激に変化している線が現れることがある。この場合も上記と同様の呼び方をする。積乱雲に伴う雷雨の際に、対流・発散・収束によって発生することが多く、このときの寒冷前線を特にガストフロントと呼ぶ。

[編集] ドライライン

乾燥帯前線。上記の4前線が温度の不連続線であるのに対して、ドランラインは湿度の不連続線である。乾燥した気団が、上記の前線で言う「寒気」と同じように南下・東進し湿った気団に衝突することが多い。アメリカでは一般向けの予報(天気図)にも用いられる。

[編集] スコールライン

寒冷前線に沿って、または先行してやってくる前線。もともと寒冷前線の同義語であったが、激しい雷雨に伴う寒冷前線前線を表す語として用いられるようになった。激しい降雨、霰・雹、雷の多発、継続した強風、竜巻などの突風をもたらすのが特徴。アメリカでは一般向けの予報(天気図)にも用いられる。

[編集] シアーライン

ウインドシアが細長く分布するもの。2種類の用法がある。

メソスケールのシアーライン

総観スケールの気象を表現する天気図には描かれないが、メソスケールで見ると風向・風速が急激に変化しているところ。収束型と発散型があるが、収束型は大気を不安定化させる。集風線、収束線とも言う。

総観スケールのシアーライン

総観スケールでも表現可能な風向・風速の不連続線のうち、温度の変化がない線のこと。閉塞前線が衰弱すると前線の両側の温度差が無くなり、上昇気流だけが名残として残りシアーラインになる。また、熱帯の海洋ではもともと温度差のない前線として発生し、温暖前線にも関連前線にも成長しうる。

[編集] 地上の気圧の谷

気圧の低い場所が細長い帯状に並んでいるものを気圧の谷という。気圧の谷には、地上にできるものと上空にできるものの2種類がある。地上のものは上空のものに比べて重要性が低いとされるが、前線に成長するものや前線から退化したもの、低気圧に発達するもの、メソスケールの低気圧が現れたものもあり、アメリカでは天気図上に示される。

[編集] 熱帯波動線

熱帯集束帯付近などで、高気圧の辺縁部や低圧部にできる気圧の谷。熱帯低気圧に成長することがある。アメリカでは天気図上に示される。

[編集] 関連項目


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