カブトムシ - Wikipedia

カブトムシ

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?カブトムシ

カブトムシの成虫
分類
界 : 動物界 Animalia
門 : 節足動物門 Arthropoda
綱 : 昆虫綱 Insecta
目 : 甲虫目 Coleoptera
亜目 : カブトムシ亜目 Polyphaga
上科 : コガネムシ上科 Scarabaeoidea
科 : コガネムシ科 Scarabaeidae
亜科 : カブトムシ亜科 Dynastinae
族 : 真性カブトムシ族 Dynastini
 : カブトムシ属 Trypoxylus
 : カブトムシ T.dichotomus
亜種
  • T.d.dichotomus
  • T.d.septentrionalis
  • T.d.takarai
  • T.d.inchachina
  • T.d.tunobosonis
  • T.d.plitus
学名
Trypoxylus dichotomus
(L. 1771)
和名
カブトムシ
英名
Japanese rhinoceros beetle

カブトムシ(甲虫、兜虫)とは、コウチュウ目(鞘翅目)・コガネムシ科カブトムシ亜科・真性カブトムシ族に分類される昆虫の種の標準和名だが、より広義にはカブトムシ亜科 (Dynastinae) に分類される昆虫の総称、Beetle(甲虫)の和訳全般、それらに姿が似ていることから付けられたフォルクスワーゲン社製の乗用車のニックネームとしても用いられる。

大型の甲虫で、成虫に発生し、とりわけ子供達の人気の的となる。サビカブト属 Allomyrinaから独立した。

和名の由来は、大きな角のある頭部が日本の兜のように見えるため。夏の季語

目次

[編集] 特徴

「昆虫の王様」とも呼ばれ、クワガタムシと並び人気の高い昆虫である。体長はオス30-54ミリメートル(角を除く)、メス30-52ミリメートルほどである。かつては日本最大の甲虫とされていたが、1983年沖縄本島ヤンバルテナガコガネが発見され、その座を失った。

オスの頭部には大きながあり、さらに胸部にも小さな角がある。この角は外骨格の一部が発達したもので、餌場やメスの奪い合いの際に使用される。ただし、角の大きさは体格に比例して連続変化を示し、体格の優劣は個体差があり、これは幼虫時の栄養状態の優劣により決定される。クワガタムシの一部の種のような非連続変異やコーカサスオオカブトのような体格に比例しない長短変異は示さない。

日本のカブトムシはおもに広葉樹樹幹の垂直面で活動し、付節先端の爪のみが樹皮上での占位に使用される。樹皮から離された個体は自動的に落下する。このため闘争は相手をテコの原理で樹皮から剥がして投げ飛ばすだけでよく、闘争の相手を執拗に追い立てて樹皮から引きはがす行動を長時間継続したり、場合によっては殺傷するといった手段は必要としない。

比較的水平に伸びた太枝や大型草本上で活動する東南アジアのコーカサスオオカブトや、南米のヘラクレスオオカブト等とは、この点で大きく異なる。これらの海外種は飼育容器内でしばしばメスすらも執拗に攻め立て殺してしまうことがある。

世界のカブトムシの中でも、このような日本のカブトムシのような角を持つカブトムシはケンカの時に相手をテコで一気に吹っ飛ばすので勝敗が明解で、双方が相手の体の下に角を差し入れ合って力比べになる瞬間は人気がある。このケンカの形態は海外のヘラクレスオオカブトやコーカサスオオカブトでは角の形状からして不可能である。一方、メスには角はないがわずかに頭部がとがり、脚が太く、鋭いとげが発達している。これは土中にもぐるために都合がよい。

[編集] 生活域と分布

標高1500m以下の山地〜平地の広葉樹林に生息する。とりわけ江戸時代から農耕利用目的で全国的に育てられてきた落葉樹の二次林に多い。

本州以南から沖縄本島まで分布し、日本以外にも朝鮮半島中国台湾インドシナ半島まで分布する。北海道には人為的に定着したものといわれている。

また、クワガタムシと同様に南西諸島等のサトウキビ栽培地域では、カブトムシ亜科に属する別種のサイカブトがサトウキビの農業害虫として駆除の対象になっている。桃園やリンゴ園といった果樹園でも農業害虫とされ、駆除の対象になっていて網を張るなど侵入対策が施されている。

[編集] 食性

幼虫は腐植土を糧とする。生木、腐食の進んでいない枯木は食べない。

成虫は口に艶のある褐色の毛が密生していて、これに毛管現象で樹液を染み込ませ、舐めとるようにしながら吸う。但し、カブトムシの角や口に木の幹を傷つける能力はなく自力で餌場を作ることはない。 基本的に夜行性で、昼間は樹木の根元、腐植土や枯葉の下などで休み、夕暮れとともに起きだして餌場まで飛んでいく。夜明け前には再び地面に潜り込むが、餌場争いに負けたなど、何らかの理由で夜間餌にありつけなかった場合は昼になっても木の幹に留まっていることがある。 クヌギコナラミズナラカシクリ、地域によってはサイカチヤナギライラックなどの樹液に集まり、これを吸汁(後食)する。

生木が食害や産卵行動によって表皮を傷付けられると樹液が染み出し、それが発酵することで様々な昆虫が寄ってくる。これら樹液の「餌場」を作り出す生物はカミキリムシボクトウガの幼虫が知られている。 樹液を餌とする昆虫は他にもクワガタムシスズメバチカナブンチョウハエアリなどが数多くいる。 餌場となる樹液周辺にはこのような昆虫たちが集まり、時には餌場を巡って争いとなるが、カブトムシは体格と防御力で他を圧倒しているため良い場所を独占しやすい。他の昆虫を押し退けて悠然と樹液を吸う様は正に「昆虫の王様」と呼ぶに相応しい風体である。

[編集] 生活環

カブトムシの3齢幼虫

カブトムシは - 幼虫 - - 成虫という完全変態をおこなう。

交尾を終えたメスは、腐植土または腐食の進んだ朽木の中に潜り込み1個ずつ卵を産み付け、卵を覆うように周りの土ごと脚で押し固める。一度に産卵するのではなく摂食、産卵の動作を数回に亘り繰り返し計20-30個程度産卵する。好条件の飼育環境下では更に多く50個程にもなる。卵は直径2-3ミリメートル程度でピンポン玉のように丸く、乳白色をしている。数日経つと楕円形にふくらみ、直径4-4.5ミリメートルほどになる。色はくすんだ薄茶色に変わってくる。2週間ほどで孵化する。

孵化直後の幼虫は大きさ7-8ミリメートルほどで真っ白だが、数時間もすると頭部が茶色く硬化する。頭部は硬いが、胴体は柔らかく弾力性に富む。幼虫は腐植土や柔らかい朽木を食べて成長しながら幼虫のまま2回脱皮をする。2齢、3齢とも脱皮直後は孵化と同じく頭部も白く柔らかい。体色は青みを帯びた透けるような白から2齢幼虫後半頃には黄色がかった不透明な乳白色へと変色する。糞は黒褐色、孵化後しばらくはケシの実状をしており、2齢、3齢と成長するにつれ米粒型を経て最終的には1cm程度のやや丸みを帯びた長方形となる。腐植土の種類や水分状態にあまり影響を受けず通常は固形で排泄されるが、驚いた時は水分を多く含む下痢状になる。複眼も単眼も持たず、大顎から摩擦音を発することで他の同種幼虫との接触を避ける。気温や餌の状態に影響されるが早いもので孵化から1ヶ月程度、だいたい晩秋までには終齢である3齢幼虫となり、体長は100mmほどになる。冬を過ごした3齢幼虫は4月下旬から6月ごろにかけて体からの分泌液や糞で腐植土中に縦長で楕円形をした蛹室を作り、そこで3回目の脱皮をして(さなぎ)となる。オスの場合は蛹に脱皮する時に頭部に角ができる。蛹ははじめ白いが、橙色、茶色を経て黒ずんでくる。やがて黒ずんだ蛹の殻に割れ目が入ると、脚をばたつかせながら殻を破って羽化する。羽化したばかりの成虫の鞘翅は白いが、翅を伸ばしてしばらくたつと黒褐色もしくは赤褐色に色付き硬化する。

羽化してから2週間程度は何も食べず土中で過ごした後、夜を待って地上に姿を現す。成虫は初夏、夜間の気温が20度を上回る日が続くと出現する。温暖な地域では5月下旬頃から、高地では7月初旬と気候によって出現する時期に若干ばらつきが見られる。成虫になると雌雄ともに興奮した時や求愛行動中に腹を伸び縮みさせ音を立てる。一般的に鳴き声と表現されるこの音は「シューシュー」「ギュウギュウ」といった感じのもので、音量は近寄らないと聞こえない程度。成虫の寿命は1-2か月ほどで、雄の方がやや短命な傾向にある。7月-8月にかけて一斉に飛び立ち、野生の成虫は遅くとも10月始めには全て死亡する。成虫の形態で越冬することはないが、飼育下では12月まで生きた例がある。

幼虫の天敵はコメツキムシ寄生バチの幼虫、アリなどの昆虫やモグラである。他にもカビウイルスによる病気で死ぬこともある。 成虫の天敵となる捕食者は、モグラ、タヌキなど森に棲む小動物、カラスやフクロウなどがいる。


[編集] 採集

カブトムシの成虫はクヌギコナラなどの樹液を餌にする。昼のうちにこれらの樹皮が傷つき樹液が染み出している箇所を見つけておき、夜から朝方にかけてそこに行くと、カブトムシが樹液をなめているところを捕まえることができる。見つけた樹木に蜂蜜黒砂糖を煮詰めた汁などを塗っておくと効率良く集めることができるとされるが、実際カブトムシは樹液の分が樹皮の酵母細菌によって発酵した産物であるエタノール(エチルアルコール)や酢酸などの匂いを頼りに餌場を探すので、酒や酢などを樹木に塗布する方法が良いととされる。しかし液体人工餌を樹木に塗る採集法は1970 - 80年代の児童向け書籍などによく記されていたものだが、流れ落ちたり乾燥してしまい効力を発揮する時間は長くはない。ほかに、ペットボトルなどを切り抜いて造った容器に大量にそれらを注いで樹木にぶらさげたり、焼酎砂糖を溶かした液に、皮をむいたバナナを漬け、2・3時間置いた物をストッキング等の網状の袋に入れて木にぶら下げておく、傷んだ果物を置いておくなどの方法もある。

なお、成虫が集まる餌場は、スズメバチなどの他の昆虫の餌場でもある。日中はスズメバチが集まるため危険を伴う。このため、夜から明け方に掛けての採取が望ましい。

カブトムシを持つときはよく大きい頭の角を持つ人がいるが[1]、頭の角を持つと足を大きく動かすため、足を痛めることがある。また、頭部と胴部の間に強い負荷がかかる形となる。正しい持ち方は上から背中の横の部分を持つか、胸の小さい方の角を持つ。

走光性は無いが多くの昆虫と同様月光を飛翔の水平維持に用いているため、夜間灯火などの人工光源に誘引される。生息地近くの水銀灯や公衆トイレに飛来した個体を捕まえることもできる。高温多湿かつ無風で月が出ていない夜は特に飛来個体が多くなる。

一方、幼虫は林内や林近くの腐植土、キノコ栽培後の廃ホダ捨て場、あるいは農家が作成している堆肥を掘り返すと出てくる。春の早いうちならば大きな3齢幼虫がいるので、幼虫を傷つけないよう注意しながら腐植土を掘り進めれば採取できる。カブトムシの幼虫の見分け方としては、大きなアゴ、頭のすぐ近くに足が生えていること、体の両脇には9つの気門、全体に細かい毛が生えている、などで見分けることが出来る。

[編集] 飼育

以下の飼育方法は、日本産カブトムシの飼育方法であり、外国産カブトムシには当てはまらない場合もある。

[編集] 卵・幼虫・蛹

成虫は2度、3度と産卵を何回か繰り返すのでケースが小さかったり複数飼育をすると前回産卵した卵を傷つける恐れがある。雌の産卵行動後、もしくは飼育ケース内に直径2-3mm程度の白く丸い卵が発見されたら、成虫を別のケースへ移すか、用意できない場合は卵を小さな容器などへ周囲のマットごと移すとより多くの生存数が望める。卵の周囲にある母虫由来の分泌物が、幼虫の成長に何らかの影響を与える可能性があると考えられており、卵だけを無闇に産卵位置から動かさないほうがよいが、たとえ卵だけ移動した場合でも孵化、成長ともに可能ではある。

過密状態になると幼虫同士が傷つけ合ったり伝染病が発生する率が高まる。孵化や脱皮時は傷つきやすく自力での移動もできないため卵や幼虫を一箇所にまとめるような事は避ける。卵をマットの上に置いての孵化観察も可能だが、卵の殻は自ら食べて養分とするため頭部に引っかかっていたとしても人為的に取り除くような事はしない。幼虫がある程度の大きさに育ったら、より大きなケースを用意するか、個別に分ける。

冬場は凍結に注意を要する。日本のカブトムシは雪の降る日本の気候に適してきた種で耐寒能力に優れるが、それでも自然の腐葉土内は空気の層を多く含み微生物の働きもあるため地上の気温がマイナスになっても深部は凍結しない。これに対し飼育ケースは全面が外気に晒されており容積も小さいため外気温の影響を非常に受けやすい。飼育マットの中心部まで完全に凍結するような環境では飼育に適さない。逆に冬も常に温暖な環境に置くと早熟する傾向にあり早春に羽化が始るなど季節外れの成虫が誕生することがある。

観賞魚用等の水槽には接着面に防水用シリコン樹脂が使用されているがこの部分は軟らかいため、使用すると幼虫に齧られボロボロにされてしまう。飼育には接着面の無い昆虫観賞用プラケースや瓶を選択する。もしくは、より大容量や耐久性を求めるならばポリプロピレン製の衣装ケース、屋外用ストッカー等を流用する事になるが、これらは飼育器具ではなく密閉性が高いため通気孔の確保が課題となる。糞の掃除など維持管理の面を考えると大きなケース単体より小さいケースを複数個用意した方が楽である。

幼虫のとなる腐葉土は、ペットショップや昆虫専門店・ホームセンターで販売されている専用のマット(育成マット、発酵マット)がそのまま使用でき、簡単で扱いやすい。このマットは広葉樹の材を粉砕後、発酵熟成させたもので、逆にクワガタムシ専用として売られている発酵の進んでいないマットや、菌糸瓶と呼ばれる菌類を人工増殖させたマットでは成長が遅く飼育に適さない。適度な湿気が重要で、マットを握って崩れない程度がよいとされており、霧吹きで定期的に水をやるとよい(幼虫がマットの上に出てきている場合は、明らかに湿気が不足している)。 幼虫がマットの上に出てくる理由は過加湿、乾燥以外にもエサ不足など様々であり、よく観察を続け原因を見極めて適切な対処をすることが重要になる。

園芸用の腐葉土はより安価に用意できる餌だが、殺虫剤や農薬が含まれないか確認する必要がある。本来の目的は元肥として使用する保水力と通気性を兼ねた遅効性肥料のため発酵が完全に進んでいないものも多く、葉形が崩れるようになるまで更に数ヶ月要する事がある。そのまま使用していても幼虫飼育は可能であるが完熟した物と比べれば成長は鈍い。また、野外の林床等から採取した腐葉土や朽木、農家の堆肥なども電子レンジで数分加熱するなど殺虫、殺菌処理をすれば使用できる。

糞が多くなったときはマットの追加や交換が必要になる。この際マットが攪拌されることによってカビやキノコの発生を防ぐ事もできる。常に豊富な餌を与えることは栄養不足による個体の矮小化を防止できる。幼虫時に栄養不足だった個体は総じて小型になり特に雄角の萎縮が顕著である。 幼虫の糞は大粒のペレット状で、増えてくると黒い小豆がザラザラとひしめいているような状態になる。これがマットの交換時期である。マットの交換が必要な時はバクテリア環境の激変を抑える意味でも全部入れ替えずに半分から7割程度を入れ替えるのがよい。 終齢幼虫になると糞が大きくなるため粒子の細かいマットならば中目のふるいにかけることで糞だけ分離する事ができる。減った分だけマットを足していく事で交換することなく効率の良い飼育が可能になる。 無農薬の証でもある幼虫の粒状化した糞は腐植土が更に分解されており、肥料としての利用価値が高い。植物にも人間にも安全な緩効性肥料となる。

産卵直後は硬い卵だが孵化直前は潰れやすい。また蛹の状態は些細な震動が加わっただけでもしばしば死んでしまうほどデリケートである。このため、初秋(卵の時期)と初夏(蛹の時期)にはマットの取り扱いに注意する。この時期のマット交換は不要である。 蛹を掘りあててしまった場合は、蛹室が下半分以上残っていればそのままにし、周囲のマットが崩れて蛹室が埋まらないようにしておく。蛹室を完全に壊してしまった場合はマットに蛹室の代わりとなる縦長(国産カブトムシの場合)の窪み[2]を作り、そこに蛹を立てて入れておくとよい。蛹室の大きさ形が適切でないと羽化時に翅を正常に伸ばせず、歪に硬化してしまい飛べなくなる。 また、昆虫の蛹室を壊してしまった場合や観察のときに人工蛹室を使うが、国産カブトムシ専用の人工蛹室も市販されている。 蛹に傷をつけないよう、慎重に取り扱うこと。特に尖った物で触ったり、衝撃を与えたりすることは厳禁。乾燥、加湿、温度変化も極力避けるべきである。

[編集] 成虫

逃げ出さないよう蓋がしっかりと閉じる飼育ケースを用意する。発泡スチロールでは穴を開けられる恐れがある。カブトムシの寝床となるマットは腐葉土や、前述の発酵マット等が良いが、成虫の目的が繁殖ではなく観賞ならばダニの付着やコバエの発生防止のために防虫効果のある針葉樹マットでもよい。直射日光の当たらない、気温25度程度、35度以下の通気性が良い場所で飼う。

幼虫と同様、霧吹き等で定期的にマットに水をやる。また、転倒した成虫は平らな場所ではなかなか起き上がる事ができない。無駄な体力の消耗を避ける意味でもつかまって起きあがるための枯葉、小枝、止まり木などは満遍なく敷いておくとよい。

床マットは一度にたくさん入れるのではなく、少しずつ入れるようにして底部から押し固めるようにしながら入れる。特に底面5センチメートル程度は強く押し固めた方がよい。全体の土の厚さは10-15センチメートル以上必要である(繁殖させるつもりがないなら2-3cmでも構わない)。

自然界では樹液が主な成虫の餌だが、家庭では市販の昆虫ゼリー、または果物リンゴバナナ等)などを与えるとよい。よくスイカメロン等は水分が多く下痢をすると言われるが、大便小便の区別が無い変温動物の昆虫が、水分の多い下痢状に見える排泄をしたことによって体力の低下を引き起こしたり脱水症状に陥るかどうかは不明である。セミがするオシッコと俗に呼ばれる排便、ハチやチョウの水飲み後に見られる水便などとは意味合いが少々異なるが、恒温動物である人間の下痢とは区別して考える必要がある。昆虫に対する毒性は認められていないので無論これらを与えても死ぬ事は無いが、細胞の維持や活動エネルギーの補給に必要なタンパク質とカロリー源に乏しく、寿命と産卵個数はより栄養価の高い飼料に比べ低下する。砂糖水やジャムなども同様。水分が多い餌ほど排泄物の水分も増えるため飼育容器は余計に汚れる。 昆虫ゼリーは近年、甲虫類専用飼料として昆虫ミツよりマットを汚しにくく扱いやすいことから主流になったが、粗悪な物は砂糖水に食紅を加え着色し固めたただけ、ということもあるので購入の際は注意したい。

他の雄や異種と戦わせるのも一興であるが、脚が捥げたり外殻に穴や亀裂を生じやすく、非常にストレスを与えるため長期間飼育したい場合には向かない。愛好家の中には昆虫の格闘大会出場のために前もって格闘を重ね修行を積むことにより更に強靭な個体になると信じている向きもあるが昆虫への筋トレ効果や闘争心向上に影響するかは疑問符が付き、科学的実証が待たれる。 カブトムシは一般にオオクワガタ等よりも短命で、羽化後1-3か月程度で死んでしまう。

詳しい飼育用品の解説はクワガタムシ#飼育用品を参照。土に産む種類のクワガタムシと考えればよい。

[編集] ふやし方

雄と雌をつがいで飼う。産卵用のマットは市販されている。雌が多い分には問題ないが雄同士は争うので、1対ずつ飼うのがよい。国産カブトムシの交尾から産卵に至る過程は非常に容易で、餌とマットが揃っていれば特別な事は何も要らず、後はただ脅かさないようにそっと見守っているだけでよい。交尾の後、雌は容器底部付近まで潜り産卵する。

マットに加湿する際、水を入れ過ぎると底部に水が溜まって産み落とされた卵が死滅する場合があるので注意が必要である。これは通気性が阻害されると無酸素状態になりやすく、この状態を更に放置しておくと嫌気性細菌の繁殖によって有毒ガスがマット内に充満し水難を免れた卵や幼虫にも影響するからである。マットの底が濡れて変色、ドブまたは硫黄の臭いがする場合がこれに当たる。

カブトムシを殖やすときにはたくさんのマットが必要で、成虫ワンペアが30匹程度の子孫を残した場合、翌年成虫にするまでに100リットル前後のマットが消費される。現在は外国産昆虫が通年流通している影響もあり昆虫マットを一年中入手可能だが、カブトムシの幼虫は発酵の進んだマットを好むのでまとめて買い置きしておいても消費期限が切れるような問題は無い。マット表面にカビやキノコが見られる場合は取り除かずよく攪拌して使用する。


[編集] 文化

日本初の独自の本草書『大和本草』(1709年)には、絵と共に蛾に似ているなどという記述がある。本草学者である小野蘭山の『本草綱目啓蒙』(1806年)によると、江戸時代関東地方ではカブトムシのことを「さいかち」と呼んでいたことが記されている。この由来についてはサイカチの樹液に集まると考えられていたという説、カブトムシの角がサイカチの枝に生えた小枝の変形した枝分かれした刺に似ているからだとする説がある。また、『千虫譜』(1811年)には、カブトムシは独角僊と紹介され、子供がカブトムシに小車を引かせて遊んでいると書かれている。

カブトムシは、日本ではその独特な姿形を「格好いいもの」と考える人が多く存在し、特に小学生程度の年齢の子供に人気がある。カブトムシの成虫が現れる7-9月は小中学校が夏休みにあたるため、この時期の深夜から早朝にかけて、山林に生息するカブトムシを捕まえにいくことが子供たちの夏期の楽しみの一つになっている。子供たちは捕まえたカブトムシを、しばしば上記した飼育方法によって飼育する。また観察日記を夏休みの自由研究として記録する子供も多い。

捕まえたカブトムシは飼育観察するだけでなく、カブトムシにをつけ重い物を牽引させて遊んだり、子供同士でその大きさを競い合ったり、あるいは「けんか」「昆虫相撲」などと称して、2匹のオス同士、またはカブトムシとクワガタムシをけしかけ角で相手をひっくり返した方が勝ちとする遊びに興じたりする。力が強く、大きく、競技で多くの勝ちをおさめるカブトムシを持つことは、その年頃の子供にとって一種のステータスであり、これによって他の子供からある種の尊敬を集めることもある。ちなみにカブトムシは自分の体重の20倍以上のものを引っ張ることができるとされる。人気の高さゆえにカブトムシを商品として売買することが1970年代頃から行われている。

子供だけでなく、大人にもカブトムシの愛好家は存在する。1999年植物防疫法規制緩和され、海外産カブトムシの一部が輸入解禁となったため、日本国内で様々な種類のカブトムシが入手できるようになった。子供の頃には入手も叶わず、図鑑の向こうの存在でしかなかった海外産カブトムシが手に入るようになったわけで、このようなカブトムシを飼育し、より大きな個体を作り出そうと心血を注ぐ人が多い。ちなみに2005年現在53種類の輸入が可能となっている。

[編集] 俳句

兜虫甲虫は夏の季語でもあり、他に皀莢虫鬼虫源氏虫などの異名がある。元々カブトムシとクワガタムシは必ずしも明確に区別されておらず、このような名称はクワガタムシにも使われる。

などに比べるとあまり詠まれていない。

ひつぱれる 糸まつすぐや 甲虫 (高野素十

[編集] 亜種

Trypoxilus.dichotomus

Allomyrina属のカブトムシは2種、4亜種がいる。

飼育用の本土産カブトムシが沖縄本島で逃げて定着し、固有亜種の生存を脅かしている。

[編集] カブトムシをモチーフにしたもの

アーティスト・音楽・工業製品
キャラクター

上記以外にも多くのカブトムシモチーフのキャラクターは存在し、人々から親しまれている。

なお、英語由来のものに関しては、英語の"beetle"を「カブトムシ」あるいは「かぶとむし」と翻訳し、その訳語が定着してしまっているものが多く見られる。しかし、"beetle"が意味している概念はカブトムシも含む甲虫全体である。つまり、英語の"beetle"を翻訳したものは、元々は、「雄が巨大で発達した角を持った甲虫」をイメージしたものではない。

[編集] 脚注

  1. ^ ヘラクレスオオカブトなど外国産の大型カブトムシは胸の角の方が大きい。
  2. ^ アトラスオオカブトなど大型のカブトムシの蛹室は横長である。

[編集] 関連項目

[編集] 参考文献

  • 森上信夫「カブトムシ」ポプラ社『いろいろたまご図鑑』ポプラ社、2005年2月。ISBN 4-591-08554-6
  • 『学研の図鑑 昆虫』学習研究社、1970年8月。
  • 吉田賢治『原色図鑑&飼育 クワガタムシ・カブトムシ 完全BOOK』成美堂出版、2006年6月。 ISBN 4-415-03031-9

[編集] 外部リンク


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